中学生に伝えたいこと

 

中学生に伝えたいこと    森田明夫

                 

   先日、近隣の大田区立大森第一中学校3年生・卒業間近の70名余りの生徒さんたちに講演させてもらう機会を得ました。これは昨年4月に大森一中を訪問して約1年越しで叶えられたイベントでした。私は大学では教鞭を取れましたが、教員免許は持っていないので、小学校・中学・高校では正式な講義はできないのです。そこで道徳の時間を使って、体育館で講演という運びとなりました。

    何を話そうかかなり悩みました。ChatGPTに中学3年生が喜びそうな話題は?と聞いたらゲームや恋愛、SNSなど楽しいことをたくさんあげてくれましたが、どうも私の範疇ではありません。そこで、いつも大学で低学年にも話していた脳の機能や手術の紹介、それと夢を持って生きて欲しいということを中心にお話ししました。脳の手術はリアルな画像も入りますし気持ち悪くなる生徒さんもいると思いましたので、写す前に気持ち悪くなりそうなら目を瞑ってくださいとお話ししていましたが、最近はかなり医療ドラマも多く、実際の手術の場面なども出てくるので、そういう子達はほとんどいなかったように思います。頭蓋骨をドリルで切り取るところなどは前のめりに見てくれたようです。最後に質問で、これまでに最も大変だった手術はどんな手術でしたか?などという質問も出たくらいです。

    さてその中では、脳はとても脆弱な器官なので、だから頭蓋骨という厚い骨で覆われていること。お豆腐のように水の中に浮かんで保存されていること。だから自転車ではヘルメットをしようというお話しをしました。

    次に、人間の脳とAIとの違いで最も際立つのは感情と理性・判断のところで、その行き着く先が「夢を持つこと」だと ちょっとこじつけのような話に繋げました。AIも夢を見ることがあるかもしれませんが、自分固有の体を持たないAIは自分を大事にして、その個体がかなえるものを望むことは余りないのではないかと思うのです。だから皆んなは自分を大切にして、夢を持って、できれば志くらい強い意志を持ってかなえる努力をしてほしいというお話ししました。

    そして、夢をかなえるために必要なこととして、大谷翔平君がやっていた、曼荼羅チャートを紹介しました。彼の16歳時の目標は8球団のドラ1指名でした。そしてそれをかなえるために8つの努力(体や野球に関することとして、体づくり、コントロール、きれ、スピード、変化球、そして人間性の面の向上のためのメンタル、人間性、運)を挙げていました。運っていうのは努力で掴むもの、と思っている人は自分も含めて少なく、神頼みと思って神社やお寺でお祈りするのがせいぜいと思いがちでしょうが、彼の場合は運を掴むための8つの努力として挨拶、ゴミ拾い、部屋掃除、審判さんへの態度、本を読む、応援される人間になる、プラス思考、そして道具を大切に使う をあげています。今彼がよくしていることですね。彼はその変更バーションをいくつも作って、細々した目標の設定は色々その時その時に応じて変更していました。素敵な人生です。このことについては以前日本医科大学の部長の時にブログに書いています。こんな人だから、彼は変な死に方はしないだろうなと今から思います。

 

    さて、そのようなことの中で、夢をかなえるために必要なこととして、人との出会いを大切にすること。好きであること。興味を持つこと。諦めないこと。巡ってきた幸運を逃さないよう見張っていること。などを挙げました。私の場合、特に福島先生Sundt先生、父・母、多くの指導してくれた先生たち、たくさんの刺激を与えてくれた友たちが、今の私を作っていると思うことも紹介しました。

    特にその中で大切なのが、SERENDIPITY。こちらも数回前述ブログの一つに紹介しました。米国脳外科医のSpetzler先生がコロナの最中に金沢で開催された学会で、web越しに日本の脳外科医師向けにお話しされた中で最も大切にされていることです。色々なことに出会うこと。その時につまらないと思っても、突き詰めて興味を持って見ること、その中に何か変わったもの、将来大切になるものが隠されているかもしれないこと。その場でChat GPTを操作して、GPT君がいうことも見せて挙げました。チャンスの前髪を掴むことです。タイパ、コスパと言って色々な無駄と思われるものを省いてしまうと、大事なことを見逃し、経験するチャンスを逃してしまうと思うのです。

    ChatGPTでのSERENDIPITYの例は、青黴から発見されたペニシリン、つけそうもない粘着力の弱い糊から作られたPost ItX線の発見や、パイ生地を忘れてできたタルトタタンなどが紹介されています。ある先生は、Serendipityとは干し草の中で針を探そうとしていたら綺麗な村娘に出会ってしまうようなもの。。という表現もされていました。

    そして最後に諦めない強さ:GRITのことを紹介しました。アンジェラダックウオースさんが提唱したいわゆるレジリエンスの強さの指標です。日本語で言えば挫けない心の強さでしょうか?私の日本医科大学での最後合同カンファランスでもこのことをお話ししました。

    後で大森一中の渡辺校長先生からGRITのことをご存知なかったので、今後ご自分の話でも使わせていただくというコメントもいただきました。

    少しはためになったかな。と思う1日でした。

   

雑談:

最近、牧田総合病院脳神経外科の朝本先生から学会で講演されたり、メールなどでも色々情報をいただくのですが、SDGsを本気でとりくまないと世界は大変なことになると考えるようになった今日この頃です。米国のトランプ大統領はほぼ逆行することをしようとしていますが、みなさんご存知のプラスチックごみによる海洋汚染はもちろんのこと、人の脳にまでマイクロ・ナノプラスチックが溜まってしまっており、その所見のある患者さんはより重症となっていることがデータで示されているのです。日本の状況も知りたいので、当院や日本医科大学でも脳卒中・脳神経外科関連でこのような研究を始めてもらうようにお願いしているところです。ご覧になった方も多いと思いますが、NHKのクローズアップ現代でこの状況紹介されており富士山の山頂の大気の中にもマイクロプラスチェックが検出されているとのことです。朝本先生からの情報では、ドイツやヨーロッパではポリレジ袋は20年以上前から有料だし、台湾の癌学会ではプラスチックや紙コップでの飲料の提供をやめて、再利用できる折りたたみ携帯コップを配布して、10000個のコップ廃棄を減らす試みをしているそうです。日本ではまだまだそういったことは始まっていませんね。。時々車でレジ袋が飛ばされて舞っているのを見るとゆくゆくはあれが自分の脳に溜まるのか、、と思うようになっています。できれば、色々なことを皆で推し進めていければと思います。

ちなみに2月はこの10数年のうち始めてブログをスキップしてしまいましたが、福山市の小学校向けで、一般社団法人A&Aが進めている「トイレきれいプロジェクト」で小学生向けにビデオメッセージをお届けしました。

   

 

 

    写真:

    大森一中の講演の様子

    


   大森一中の生徒さんや大森第四小学校の生徒さんたちが描いてくれた病院に展示中の絵



 

    Chat GPTの描くSERENDIPITYのイメージ

 


    GRITの基本コンセプト

    SKILLTELENTと努力で成り立ちACHIEVEMENTSKILLと努力で達成される。

    


 

    私の夢1

今の病院をたくさんの子どもやご老人たちが集まれる賑やかな場所にすること

それをコアに近隣の人たちの健康や安全を育むこと 描画 by ChatGPT


 

    私の夢2:70歳を過ぎたら、風光明媚なところで美味しいイノベーティブな料理を美味しいワインやお酒と共に提供するビストロを開くこと(本当に夢) 描画by Chat GPT

 


動画:一般社団法人A&Aのトイレきれいプロジェクトに賛同して


 

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