料理を趣味とする功・罪

 料理を趣味とする功・罪

 

       東京労災病院 森田明夫

       今回のブログは、大田区大森医師会の医師会雑誌9月号に投稿した内容の転用です。テーマはなく全て雑談です。そろそろ発刊されるので、こちらのブログにも掲載させていただきます。省力で申し訳ありません。

以下 料理好きの独り言:

なにしろ料理が好きだ。器も好きだ。ただこれが、なかなか自分の体調管理と終活管理には悪い弊害がある。関東の埼玉・岩槻で生まれ育ち、母の実家は茨城・古河とくるから、母から刷り込まれた味覚は、どうしても濃い味付けとなる(茨城はほぼ文化・文明が東北です)。母の料理では、煮込みのハンバーグと、お正月の筑前煮、きんぴらとか、夏の胡麻汁冷麦と、そんなものが思い出される。1日の塩分摂取は20gを裕に超えていたと思う。あまり好きではなかったと記憶しているのは塩鮭(あの当時だから相当辛塩のもの)の酒粕煮、どうも今になるとあの大人の味を再現してみたくなる。これも味は酒粕で薄まっていても結局塩鮭の塩も全てしっかり摂るので塩分は10g+ほどの料理となる。このような状態なのでどうしても自分は現在ブロプレス(高血圧の降圧薬)、クレストール(高脂血症治療薬)とアロプリノール(高尿酸血症治療薬)は必需薬(後2者は自業自得であるが)となっている。現在私が得意としている料理は、自己また家族の評価点順で、1位:チキンのロースト(香味野菜・鳥肝チャーハン詰)、2位:ローストビーフ、焼き野菜添え、3位:牛頬肉(またはテール)の赤ワイン煮、4位:(本格)麻婆豆腐、5位;牡蠣と蕗の薹(広島産他)(または蛤と菜の花:ともに千葉県産)のパスタ(リンギニ)という感じである。チキンのローストは、米国留学中に妻の友人の日本人奥さんが、アメリカで2ドル位(200~300円)で売っていた(1990年頃本当に米国は物価が安かった。)1kgくらいの若鳥のまるごとを「そのままオーブンに入れれば美味しい丸焼きができるよ」という言葉から、日本風にアレンジして出来上がったレシピである。米国ではターキーが好まれ、中にパンの耳とかが入っていて、変なグレービーソースとかクランベリーの甘酸っぱいソースで食べるのだが、どうもあの七面鳥のお肉のパサパサ感と味が好きになれず、我が家の年末のHolidayの食事は毎回チキン(米国ではCaponという去勢した雄鶏の数kg超のものすごく大きたチキンを売っている)のローストとなり中身はご存じ香味野菜と鶏肝のチャーハンだ。ソースは、醤油と白ワイン(または火によって赤ワイン)を時々ロースト中の鶏にかけて、最後に首から取ったスープでこそげた醤油ベースのソースである。この時の肉の人気はローストに限っては胸肉であり、すごくしっとりと美味しく仕上がり、皮のパリパリと合わせるととても美味しい。中身のチャーハンもしっとりとして、子供達も私どもも大好きである。一方最近特に凝っているのが、広島の牧場経営のスーパー(ミート中山牧場という優れもののスーパー)で神石牛という神戸牛と同種のA4くらいのお肉の頬肉とかテールがかなり手軽に手に入るので、広島に勤務にいった際に買って帰ることにしている。煮込み料理では主にアサヒ軽工業の圧力鍋を用いている。数時間の煮込みを最大でも20分に短縮でき経済的である。低温調理も一時影響されて少し凝ったが、どうも調理時間が長すぎて、味の満足度も今ひとつなので今はほとんどしていない。いつも本当にこの火の具合で火が通っているのか心配で温度を上げてしまうのが問題なのだろう。さて牛の頬肉たるや上質なA4クラスの牛のものでも100g 200円程度で買えるので1Kgでも二千円もしないで、まあ人前に出しても惜しくはない素晴らしい赤ワイン煮が数人前できる。さらに最近はウー・ウエンさんという中国系の有名な料理人さんのレシピに凝っていて、蒸し物や優しいスープものにもレパートリーを増やしつつある。こちらはこれまでのものよりもややヘルシー志向である。

さて、このように料理好きになると器や飲むお酒にも少しは凝ってくる。と言っても飲むワインはせいぜいエノテカでワイン屋大賞をとったキャンティのAMAとか、ブルーゾーンで飲まれているというCannonauなど数千円クラスのもので、たまにいいことがあると、Nuit Saint GeorgesとかC. LATOURのセカンドとかOPUS ONE(ひと昔前にサンフランシスコや現地オーパスのワイナリーでは100ドル程度で売っていたが、今やなかなか手が出ない)とかも開ける時がある。器は日本また世界の陶器が好きで、いつも妻が重ねられない器が多すぎると悩むばかりである。沖縄のやむちんや益子や笠間が好きで、米国では留学中にコミュニティカレッジの陶芸教室の先生(益子の島岡達三さんのお弟子さん)に習い、その先生と奥様の器や、日本では備前の伊勢崎紳さんに手ほどきを受けているので、自分で焼いた駄作も、人間国宝の息子さんの器も使っている。基本磁器よりも土を感じる陶器が好きで、ろくろを回して、自分で土から形を作って行くとき、何か大地と繋がっている気持ちがす。ただこのような食器は田舎の一軒家ならまだしも都会に住む身の上としては、食器棚の置き場に困るというのは日常で、かつこの歳になると終活も考慮して、ガラクタで終わらせる前に、何か良い活用法はないかと思案中だ。どこかでセレクトショップや注文の多い居酒屋を開くのもありかとも考えることもないでもない。

           まあ、そんなこんな、課題はあるが、料理や陶芸・陶磁器集め、ワイン堪能はとても楽しく、ここ2年間、週末に妻の住む自宅に帰る半単身赴任をしているが、一日中、今日はサミット(今の病院の近くのスーパー)で何を買い、何を作って、どの器で食べようか?なんのワインにしようか?(1日3杯までと制限している)と考え、飽きることがない。昼休みには学術書よりも料理本で様々な雑念に取り囲まれた気分を和ませる。しかし問題は一人分の料理を作るというのは大変で野菜などの素材が余らないようにするとどうしても2.5人前くらいになってしまって、、仕方なくお腹が張る裂けるぐらい食べることになる。

そういうわけで、せっかくRから始まる超スパルタジムに6年ほど通って痩せたのにリバウンドとγGTPの上昇に再度悩まされているのは難題である。

 

           さてこのような趣味を活かしたことで最近の良いこともある。2025年5月から京急ストアと共同開発で蛋白20g、塩分3g、総カロリー500Kcalくらいという東京労災病院監修の「脳・健康に良いかもしれない身体想い弁当」を作って、京急線沿線各駅の京急ストア等で販売してもらっている。(但し当方には一切インセンティブはなし。)比較的美味しいし、このようなB級グルメな者が監修した割には(しっかり、かなり健康的に出来上がっている。8月からは秋バージョンを販売しており、京急ストアのお弁当の中で1、2を争う人気商品となっているとのこと。また12月からは冬バージョンが販売になる。 料理を趣味として、こういう意味で病院の地域への貢献に寄与できるのも悪いことではないなと思う。

           さてもちろん料理や焼き物については興味は尽きないので、日本国中、世界中の料理や器に興味を持って勉強し探索しています。本当に美味しい、素晴らしいという驚きや感動に会えるのは色々弊害もありますが、良い趣味だなと思っています。今回はそのような料理を一挙にご紹介!焼き物はいつか別の機会に。 

 

以下自作の料理と、これまでに感動した料理の数々



 








 







なんと言っても横綱は、沖縄中城にあるカナの海蛇汁 人生の毒がdetoxされる美味しさです