2024年4月 桜と日本人

「桜と日本人」 東京労災病院 病院長 森田明夫 桜はいつ頃から日本人の心をとらえるようになったのか、という話を先日 NHK のラジオで話されていました。奈良時代は中国から伝来した梅が最高の季節の花であったようです。桜はそれこそ今大河ドラマで放映している「光る君へ」の時代 平安時代に小倉山や吉野山とかの山桜を愛でるようになり、それ以来徐々に花見の文化が広まったらしい。平安時代でも菅原道真など、有名な飛梅の話もあるくらいで、梅の方が上級な花だったのかもしれません。歴史上最も有名な花見といえば、秀吉が伏見醍醐や吉野で開いたお茶会花見で、 絵巻 にもなっており、身分の上下に関わらず参加できたらしいです。最近は海外の人も桜を見に日本にも来るし、韓国でも桜は人気になっているようですが、日本人で桜が嫌いという人に出会ったことがありません。なぜそんなに日本人は桜が好きなのでしょう?特に吉野山で有名な山桜やオオシマザクラとエドヒガン桜の交配で豊島区駒込の染井村で品種が作られた ソメイヨシノ は花が葉に先行して咲きポッと白く山や土地を染めます。また牡丹のように花ごと落ちることが少なく、花びらがハラハラと散るさまが日本人の優しい心にフィットしたのか、逆にそのような儚い花のあり方が日本人の心のあり方を作ったのかもしれない思います。 みさなんもご存知かと思いますが、ソメイヨシノは元々は1本の樹から代々クローン、接木で作られる人工品種です。 60 歳樹齢寿命説がありますが、一応これ以上生きる樹木もあるようですが、やはり 60 年過ぎたものは倒れたりするので、伐採されることが多いそうです。私は米国留学時代ワシントンでポトマック川沿いの戦前に日本から贈られた ソメイヨシノ を見に行ったことがありますが、それが、、日本のソメイヨシノとは全く違い、ハラハラと散ることはなく、最低一週間以上は花が咲き続け、花弁ごと牡丹のようにボタっと落ちることが多くなっていました。「強い桜だ。桜も住むところが違うと性格や体質が変わるのかな?」と思いました。当時は自分も米国に永住して、強い人格を作って頑張ろうなどと思っていた頃で、でもはらはらと散るような「物の哀れ」がやはり自分からは抜けきらず、帰国したという経緯があります。ちなみにポトマック川の桜は高峰譲吉がなんとか日米友好の証に...