投稿

9月, 2024の投稿を表示しています

韓国医療界の今

イメージ
       韓国医療界の今        東京労災病院 森田明夫               先日韓国で脳神経外科の脳血管障害と脊髄・脊椎疾患の国際学会が連日であり、両方に招待されたので、約8年ぶりに韓国ソウルを訪ねた。韓国の脳神経外科は血管障害も脊髄も日本に追いつけというよりも、目は欧米を見ており、とても進んでいる。脊椎のロボット手術は日本では保険償還がないためほとんど進んでいないが、韓国では Yonsei 大学やソウル国立大学かなりの施設が導入している。人口がソウルとその周辺の大田などにかなり集中(全人口の 1/2 位)しているので、大病院に集中するという傾向が強く、日本のように数百床規模の病院が乱立ということはなく、欧米型の数千床規模の病院に集約した医療を行っている。大学の教授も同じ脳外科でもたくさんいて、血管障害や腫瘍、脊髄、小児などそれぞれの専門家が集団を作っており科の主任教授は 2 年〜数年に一回ずつ交代してゆくというシステムである。お年の先生も含めて、英語がとても上手で、脊髄・脊椎の学会は国内の学会も含めて、全て英語で進められていた。ほとんどの先生が欧米への留学経験がありあまり言葉に困ることはないらしい。        さて、今回の学会では、会長講演の代わりに現在韓国の医療界には激震が走っているという内容の特別公演があった。ユン現大統領及び韓国の厚生省が医学生募集定員を今の年間40医学部 3000 人強から(日本は82校で約9000人)2 000 人増員するすなわち今の 1.6 倍の人が医師になるという政策を打ち出し、医学部や医師会などの医療界には相談せず決めてしまったのである。その理由は日本と同様の医療の偏在、医師の診療科の偏りである。日本でも今非常に問題になっているのが、美容外科に大学医局や外科を経ずなる人たちが増えていること。よく知られている通り韓国は美容外科が古くから有名であり、外科や救急、小児、産婦人科など...