2025年5月7日水曜日

米国にて想うこと

 

米国にて想うこと

久しぶり米国を訪ねた。それも早春の緑が爽やかなBostonである。今回は米国脳神経外科学会が、私の古くからの友人であるprof. Jacques Morcos先生が会長で開催されるということで参加を決めた。またその会に先立って、脳外科界のレジェンドであるprof. MG Yasaragil先生が今年100歳を迎えられるということで、先生にちなんだマイクロサージェリーの学会も開かれた。ドナルド トランプ大統領の一見無秩序かつ無頼漢のような政策に右往左往する世界の中で、米国はどんな状況なのかも興味があった。しかし聞いてはいたが物価がものすごく高い。ビールは空港では一杯3000円はするし、空港で水を買うと500mlのペットボトルが約500円である。市中でも、空港内よりは多少やすいが、食事は、サンドイッチは最低10ドル、マフィンなどは5ドル、店に入って食事をすれば、ラーメン一杯3000円、通常一回の食事でランチで5~6000円、夕食なら1~2万円は覚悟である。ホテルは市内でシャワーがついているまともな宿は軒並み1泊素泊まりで最低でも300ドルかかる。5万円近い。日本なら京都の老舗旅館の柊屋別館で素晴らしい夕食と朝食がつく料金である。もちろん円安の影響もあるが、全体にお金の価値が非常に低くなっている。一般の道路の工事作業員とかどうやって暮らしているんだろうとおもう。8名のメンバーで食事をしたら、店員にチップは最低100ドルだと言われてしまった。一体どれだけチップで稼ぐのだろう。。あれば税金申告しているんだろうか?と不思議になる。

はてさてそんな困ったことはさておき、実際の世の中はどうかといと、相変わらず米国は世界の中心のように振る舞っている。確かにそのように想う。学会では、午前中はプレナリーセッションとなっており、出席者全員2~3000人が1会場で話を聞く。内容は誰もが知っておくべき先進的な脳神経外科の領域での進歩を扱った研究発表とそれに対するコメントと鵜呑みにしないための注意喚起。そして、がんばった人たちへの感謝と賞与、あとは会長が目指す学会のコンセプトを代弁する様々な領域で活躍する人たちの数10分のスピーチが散りばめられている。今回は意思の強さと信念、不屈の精神、そして幸福への道導を中心としたいくつかの話が、講演者たちの経験談をもとに語られた。空虚な絵空事の話ではなく、彼らが歩んできた道の話をするのだから、内容には実がある。最初のMr. Bob Woodruffという米国のジャーナリストが、彼がどういう意思を持って戦地や内戦の激しい国で重症外相を負うという経験をしながらも、現地取材をしてきたのかという話をした。女性代表の1名はMrs. Asma Khanというインド人の博士で、皆の反対を押し切って英国で女性のみが従業員のインド料理店を開き大成功した人であった。信念を持って進めばなせないことはない!という話である。さらにDr. Peter Diamandis、長寿の秘訣のベストセラーの著者である。不屈の精神について米国のアイスホッケー選手・監督のMr. Mike Eruzioneのお話。それまで注目されていなかった無名の大学生の若手中心のアイスホッケー米国オリンピックチームが世界の強豪を破って金メダルを取ったエピソードを紹介した。脳科学者のDr. Gerd Kempermannは彼らの動物実験を紹介し、脳の発達には刺激・変化のある環境が必要という話をした。心理学者のMr. Shawn Achor は人の繋がりによる幸せと成功の作り方を話す。TEDの講演が話題となっている人である。それらの話の中で最も感動したのは会長Prof. J. Morcos本人による彼の歩んできた道である。彼はレバノンの生まれで、レバノン内戦の頃ベイルートにあったアメリカン大学で医学を学ぶ。途中大学が被爆したり、その際に出血している兵士を医学生だった彼が何をして良いのか分からずガタガタ震える手で出血を抑えていた。その際、その出血している黒人の兵士が、「先生。あんたは大丈夫だよ!」”Doc. You are OK!”とむしろ患者が安心させてくれたこと。大学の恩師がその時の被爆で亡くなったこと。その後イギリスで脳外科を研修し、キューバ出身の恩師のProf. Rober Herosのいたミネソタ大学脳外科に就職。その後は彼に伴ってマイアミ大学に移り、今はテキサスヒューストン校の主任教授としてかなりの額で引き抜かれたという話。すらっと話されたが、実際に生死に関わる戦火の中で学び、様々な障害があったが、挫けることなく自分の意思を貫き続けたこと。様々な先生から学んだことを話していた。そして家族からもいつも刺激を受けているという現在を紹介していた。彼自身が国外からの留学生だったから、私のような外国人で英語が少し下手でも優しく付き合ってくれるのだろう。そしてまた移民として生きてきた先生方を大切にしている。私は途中で挫けて日本に帰国してしまったが、何か反省させられながら感動して聞いていた。

このように米国という国は、優れて、競い合いながら世界レベルに生き残り勝ち残った人たちで構成されている国である。違う文化も柔軟に取り入れ、人種や考え方の違いを排除せず興味を持って受け入れ、国全体の力としてきた。だから国としてイギリスや日本のように老化(人のという意味ではなく、国の生き生きとしたという意味)せず、成長を続けられるのだろう。いつも変化し、それにうまく対応してゆくという流れができている。そこに、今回の不法移民対策とは言いつつも、実際にはほとんどの米国に在住する外国人への強力な締め付けが始まっている。古くから米国の地盤層となっている田舎の農民や工場勤務者から支持を受けているトランプ大統領が、科学者や正規の移民や留学生に圧力を強めている。聞く話では留学生は一度交通違反切符を切られると国外退去だそうである。何を言っても取り合ってくれないそうである。なんということだろう。移民、それも上流な移民があの国を作っているというのに。ではそこに日本のチャンスがあるかというと、なにしろ物価が安いから旅行の対象としては日本に来るだろうが、給与や研究費は欧米やシンガポールの1/10以下なので、絶対に日本で働こうとは思わないだろう。友人から聞いた話であるが、シンガポールの国立の研究所では、NIH(米国国立衛生研究所)の研究費を持っているような世界的な研究者には年間1億〜数億の研究費をポイっと出して招聘しているそうである。その額は日本では、やっと勝ち取れる数少ないAMEDの研究費相当である。

日本の科学や医学研究のレベルは経済と同等に、爆下がりである。このままではどうにもならない。なんとかして、経済的なバックグラウンドの革新的な改善と、それに伴う研究費、そして医療費の増額が必要だ。そうでなければ、海外からは日本の観光を楽しみにくるインバウンドだけで決して日本に本当に資する優秀な外国人を招聘することはできず、また心ある優秀な日本人は海外へ出て行ってしまうだろ。

今の大河ドラマべらぼうで石坂浩二さん演じる松平武元が語っていたように世の中を動かしているのはお金だけではないけれど、では日本は何を魅力とできるのだろうか?

100年後の日本が、私たちが誇れる国であり続けられることを祈りたい。と米国で思った。

雑談:

米国には、上に述べたように多くの優秀な人材が揃っているだけではなく、文物も素晴らしい。今回ものすごく感動したのは、Harvard Natural History Museumの残されている19世紀末に当博物館の館長が、チェコのガラス職人に依頼して作った植物標本である。すべてガラス細工で、水水しい植物や花、種子の大型モデルなどが所狭しと一部屋に収められている。

黄色やオレンジやピンクや、薄紫の素敵は本物そのものと見間違うガラスでできた標本である。何時間でもその部屋で過ごせるくらいどれも素晴らしい。

時代が変わっても、良いものを将来に残すという意思が素晴らしい。

ニュアンス的ではあるが、米国では、未来を見越しても、変わらない筋というのができているようにおもう。日本は伝統のある国とは言われるが、時代時代で方針や、文化が180度全く変化してしまい、むしろ変わることが美徳とされているような気がする。政治にしても文化にしてもである。一方米国は今回のような一時的な危機はあるものの、様々な文化をとりいれながらも、人間の根底にある筋を見極めてそれはしっかりと確保し中心に据えていると感じる。

日本も100年後、1000年後も根本にある何かを持ち続けてほしいと想う。手塚治虫さんが描いていた火の鳥みたいなものかもしれないが、シンボルではなく、実際の形となるもので、人の心の拠り所になるものがあれば良いと想う。

 

写真集:

 

Prof. J. Morcosの講演の一部 師匠の福島先生もスライドで手術の技を彼に教えた人として紹介されています。講演後standing ovationを受けていました。

 

 

Boston散歩 とても清々しいシックな街です。

 

 

 

友人たちと会うのも、Local foodを楽しむのもMeetingの重要な意味合いです。

 

 

 Harvard Art Museumの至宝コレクションから

 

 

Harvard Natural History MuseumGlass Flowers

2025年4月4日金曜日

男子会の勧め。男の七戒!

 

男子会の勧め。Retire男性が社会に溶け込むための男の七戒

                                                                                                                森田明夫

今回もまた前出「受援力」のお話で紹介した上野千鶴子さんの話からである。いつも朝はNHKのラジオを1時間くらいうとうとと聴きながら目覚めるのだが、本日4/5(土)はサタデーエッセイで上野さんが話されていたのをお聞きした。前回も「高齢化社会になって一番の問題は高齢(独身)男性だ!」と言う話があったが、社会では色々な高齢者に向けての会があるが、どんな高齢者の集まりにも、どんなに誘っても、どこにもでてこない独り者男性が多い。これをどう解決するか? ご存知のようにFrailの最大のリスクファクターは社会からの孤立である。

女性の間では、女子会があり、上野さんも熟女子会、独(毒?!)女子会などを開いているそうであるが、テーマごとに色々な会があり、その会ではグチや弱音を吐き、共有する会になっているそうである。ところが男性、とりわけ一人暮らし男性の場合は、どうしても自分の弱さを晒し出すことができないという。

困っている人たちを中心とした男性介護者の会でも、呼びかけても集まらない、ズーーーと何回呼びかけても、集まらない。その上、弱音を言い合うことも難しい上に、そんな中でも男性は、「いや自分の方が大変だ」と言うマウントの取り合いが始まってしまうそうである。

そんな中でも、アルコール中毒症や非モテの男性グループ会などができていて、少しずつ男性の社会的繋がり以外の集まりができてきているそうである。

男性が地域に戻る(デビューする)場合に、地縁、血縁、社縁 でない 選択縁を作ることが大事で、その際に重要な礼儀作法がある。

その大事な礼儀作法として、上野さんは、「男の七戒」を提唱している。

重要な7つの項目は下記の通りとのこと。

1.       自分と相手の前歴は聞かない、言わない。

2.       家族のことは言わない、聞かない。 例えば息子が有名大学に入っていても、それは息子の手柄です。

3.       自分と相手の学歴を言わない 聞かない。 学歴間格差は高齢であればあるほど大きくなっている。

4.       お金の貸し借りをしない。

5.       お互いに先生・部長とか役職名で呼ばない。せっかくフランクな会なのに、役職名で差が出てします。

6.       上から目線でものを言わない。その場を仕切ろうとしない。 特に管理職にいた人はしがち。

7.       経験・特技やノウハウは、自分から言わない。相手から要求があった時だけ、必要とされたら言う。Needsがあったときに特技で役立つととても大事にされる。

 

人の居場所とは 人からそこにいてもいいよとか、人に繋がれている場所ではなく、一人でいても寂しくない場所のことを言うと言った人がいるそうである。

男女共学の会に積極的に参加したり、男性同士の会でも、心地よい自分の居場所を作って、男性という人生を楽しんでみたらどうでしょう。とのことであった。

自分でも、親しい友達と話をしているときに、確かに「**先生」って言ったり、仕切りたくなったり、聞かれてもいないのに、自分の得意技なんかを言っていたり、なんてことに記憶がある。また全く仲間に入れないこともあるし、知らず知らずに家族や自分の自慢のようなことも言っていることもあるかもしれない。これまでかなり嫌な気持ちを周りの人にさせいたのかな、と思ってしまう。反省させられたエッセイの時間でした。

 

雑談:米国トランプ大統領の無茶苦茶な経済理論に基づく大型関税のために、株価は大暴落し、物価は上がり、世の中は大変な騒ぎである。本当に映画に出てくるような無茶苦茶な大統領そのものという感を受ける。一方で、休戦とかも実行できてしまうのは、、なんなのだろう。経済については、以前アベノミクスのおかげで株が3~4倍になる直前に、大損してほとんどの株を売りはらってしまった自分にはあまり影響はしないのは、不幸中の幸いだと思う。でも今後どうなっていくのか、日本の経済が極めて悪化しそうである。

ただ私、個人的には、それよりもとても悲しいことがあった。NHKラジオの土・日の「まいアサ!」のパーソナリティだった渡辺ひとみさんが3月末で降板されてしまった。彼女の思わず出てくるアナウンサーらしからぬ「うわ〜〜〜〜っ」ていう感動した時の声が大好きで、最後の「お別れです。さようなら。」と言う言葉を聞いた時は、涙が出そうでした。

桜前線が徐々に日本列島を登って行っています。飛び散っている花粉以外は日本ではとても良い季節になってきました。春キャベツや芽キャベツ、筍や種々の山菜などなど、食べるものを美味しいし、カロリー消費も兼ねて、健康のためにも、ラジオを聴きながらWalkingを楽しみましょう。



 
蒲田串幸の新玉天ぷらと焼き空豆・めかぶぶつ切り
長原池田屋さんの牡蠣フライ、蒲田SONRISAのいちごのピンチョス

真里の高畠農場の生アスパラガス、ふきと筍の煮物、新じゃがの煮込み、そら豆
海外のお店で朝食や夕飯を食べていると、よく男子会にであう。ソウルの南大門市場ににあるカルチジョリム(太刀魚の辛煮込み)屋さんで出会った、韓国のおじさんたちが朝から酒盛り (マッコリとチャミスル)とスイスジュネーブでのイケおじたちのビールパーティ。こうありたいものです。このビストロのステーキは絶品でした。

 

 

2025年3月12日水曜日

中学生に伝えたいこと

 

中学生に伝えたいこと    森田明夫

                 

   先日、近隣の大田区立大森第一中学校3年生・卒業間近の70名余りの生徒さんたちに講演させてもらう機会を得ました。これは昨年4月に大森一中を訪問して約1年越しで叶えられたイベントでした。私は大学では教鞭を取れましたが、教員免許は持っていないので、小学校・中学・高校では正式な講義はできないのです。そこで道徳の時間を使って、体育館で講演という運びとなりました。

    何を話そうかかなり悩みました。ChatGPTに中学3年生が喜びそうな話題は?と聞いたらゲームや恋愛、SNSなど楽しいことをたくさんあげてくれましたが、どうも私の範疇ではありません。そこで、いつも大学で低学年にも話していた脳の機能や手術の紹介、それと夢を持って生きて欲しいということを中心にお話ししました。脳の手術はリアルな画像も入りますし気持ち悪くなる生徒さんもいると思いましたので、写す前に気持ち悪くなりそうなら目を瞑ってくださいとお話ししていましたが、最近はかなり医療ドラマも多く、実際の手術の場面なども出てくるので、そういう子達はほとんどいなかったように思います。頭蓋骨をドリルで切り取るところなどは前のめりに見てくれたようです。最後に質問で、これまでに最も大変だった手術はどんな手術でしたか?などという質問も出たくらいです。

    さてその中では、脳はとても脆弱な器官なので、だから頭蓋骨という厚い骨で覆われていること。お豆腐のように水の中に浮かんで保存されていること。だから自転車ではヘルメットをしようというお話しをしました。

    次に、人間の脳とAIとの違いで最も際立つのは感情と理性・判断のところで、その行き着く先が「夢を持つこと」だと ちょっとこじつけのような話に繋げました。AIも夢を見ることがあるかもしれませんが、自分固有の体を持たないAIは自分を大事にして、その個体がかなえるものを望むことは余りないのではないかと思うのです。だから皆んなは自分を大切にして、夢を持って、できれば志くらい強い意志を持ってかなえる努力をしてほしいというお話ししました。

    そして、夢をかなえるために必要なこととして、大谷翔平君がやっていた、曼荼羅チャートを紹介しました。彼の16歳時の目標は8球団のドラ1指名でした。そしてそれをかなえるために8つの努力(体や野球に関することとして、体づくり、コントロール、きれ、スピード、変化球、そして人間性の面の向上のためのメンタル、人間性、運)を挙げていました。運っていうのは努力で掴むもの、と思っている人は自分も含めて少なく、神頼みと思って神社やお寺でお祈りするのがせいぜいと思いがちでしょうが、彼の場合は運を掴むための8つの努力として挨拶、ゴミ拾い、部屋掃除、審判さんへの態度、本を読む、応援される人間になる、プラス思考、そして道具を大切に使う をあげています。今彼がよくしていることですね。彼はその変更バーションをいくつも作って、細々した目標の設定は色々その時その時に応じて変更していました。素敵な人生です。このことについては以前日本医科大学の部長の時にブログに書いています。こんな人だから、彼は変な死に方はしないだろうなと今から思います。

 

    さて、そのようなことの中で、夢をかなえるために必要なこととして、人との出会いを大切にすること。好きであること。興味を持つこと。諦めないこと。巡ってきた幸運を逃さないよう見張っていること。などを挙げました。私の場合、特に福島先生Sundt先生、父・母、多くの指導してくれた先生たち、たくさんの刺激を与えてくれた友たちが、今の私を作っていると思うことも紹介しました。

    特にその中で大切なのが、SERENDIPITY。こちらも数回前述ブログの一つに紹介しました。米国脳外科医のSpetzler先生がコロナの最中に金沢で開催された学会で、web越しに日本の脳外科医師向けにお話しされた中で最も大切にされていることです。色々なことに出会うこと。その時につまらないと思っても、突き詰めて興味を持って見ること、その中に何か変わったもの、将来大切になるものが隠されているかもしれないこと。その場でChat GPTを操作して、GPT君がいうことも見せて挙げました。チャンスの前髪を掴むことです。タイパ、コスパと言って色々な無駄と思われるものを省いてしまうと、大事なことを見逃し、経験するチャンスを逃してしまうと思うのです。

    ChatGPTでのSERENDIPITYの例は、青黴から発見されたペニシリン、つけそうもない粘着力の弱い糊から作られたPost ItX線の発見や、パイ生地を忘れてできたタルトタタンなどが紹介されています。ある先生は、Serendipityとは干し草の中で針を探そうとしていたら綺麗な村娘に出会ってしまうようなもの。。という表現もされていました。

    そして最後に諦めない強さ:GRITのことを紹介しました。アンジェラダックウオースさんが提唱したいわゆるレジリエンスの強さの指標です。日本語で言えば挫けない心の強さでしょうか?私の日本医科大学での最後合同カンファランスでもこのことをお話ししました。

    後で大森一中の渡辺校長先生からGRITのことをご存知なかったので、今後ご自分の話でも使わせていただくというコメントもいただきました。

    少しはためになったかな。と思う1日でした。

   

雑談:

最近、牧田総合病院脳神経外科の朝本先生から学会で講演されたり、メールなどでも色々情報をいただくのですが、SDGsを本気でとりくまないと世界は大変なことになると考えるようになった今日この頃です。米国のトランプ大統領はほぼ逆行することをしようとしていますが、みなさんご存知のプラスチックごみによる海洋汚染はもちろんのこと、人の脳にまでマイクロ・ナノプラスチックが溜まってしまっており、その所見のある患者さんはより重症となっていることがデータで示されているのです。日本の状況も知りたいので、当院や日本医科大学でも脳卒中・脳神経外科関連でこのような研究を始めてもらうようにお願いしているところです。ご覧になった方も多いと思いますが、NHKのクローズアップ現代でこの状況紹介されており富士山の山頂の大気の中にもマイクロプラスチェックが検出されているとのことです。朝本先生からの情報では、ドイツやヨーロッパではポリレジ袋は20年以上前から有料だし、台湾の癌学会ではプラスチックや紙コップでの飲料の提供をやめて、再利用できる折りたたみ携帯コップを配布して、10000個のコップ廃棄を減らす試みをしているそうです。日本ではまだまだそういったことは始まっていませんね。。時々車でレジ袋が飛ばされて舞っているのを見るとゆくゆくはあれが自分の脳に溜まるのか、、と思うようになっています。できれば、色々なことを皆で推し進めていければと思います。

ちなみに2月はこの10数年のうち始めてブログをスキップしてしまいましたが、福山市の小学校向けで、一般社団法人A&Aが進めている「トイレきれいプロジェクト」で小学生向けにビデオメッセージをお届けしました。

   

 

 

    写真:

    大森一中の講演の様子

    


   大森一中の生徒さんや大森第四小学校の生徒さんたちが描いてくれた病院に展示中の絵



 

    Chat GPTの描くSERENDIPITYのイメージ

 


    GRITの基本コンセプト

    SKILLTELENTと努力で成り立ちACHIEVEMENTSKILLと努力で達成される。

    


 

    私の夢1

今の病院をたくさんの子どもやご老人たちが集まれる賑やかな場所にすること

それをコアに近隣の人たちの健康や安全を育むこと 描画 by ChatGPT


 

    私の夢2:70歳を過ぎたら、風光明媚なところで美味しいイノベーティブな料理を美味しいワインやお酒と共に提供するビストロを開くこと(本当に夢) 描画by Chat GPT

 


動画:一般社団法人A&Aのトイレきれいプロジェクトに賛同して


 

2025年3月1日土曜日

2月の風景

 

20252月の風景

                        院長 森田明夫

10数年欠かさず続けてきたブログを20252月には失念してしまいました。それくらい公私共に色々な行事が目白押しだった、、のです。。と言い訳。労災病院院長として病院の昨年度の業績に基づいて、将来の方向性を示すことを労働者健康安全機構本部でこの時期にしないといけないのです。当院は2024年に整形外科の事件後の撤退や腎臓内科の縮小、眼科の非常勤化など様々な要件がかさなってしまい極めて厳しい経営状況を続けています。それでも脳神経外科や呼吸器外科、泌尿器科など昨年度の50%超となる収益増となっている診療科もあり、ほとんど診療科がプラスなのですが、整形外科が当院の収入の16%を叩き出していましたので、なかなかそのギャップを埋めることはできませんでした。20254月からは、整形外科の7名(10月から増員予定)での復活、眼科の常勤化、また腎臓内科も常勤3名体制に戻ることができます。残念ながら稼働率の低迷から一病棟を一旦休床とする決断をせざるを得ませんでしたが、なんとか近いうちに復活を遂げたいと思っています。

当院には「命の輝きを共有できる病院」という以前からの理念があります。その上で、再度当院のMISSIONVISIONは下記であることを職員に徹底しています。

MISSION

       地域の住民・勤労者の健康と安全を守る

VISION

       働くことに誇りを持てる病院となる

       地域に信頼される病院となる

 

その他挙げた当院の課題と対策は

1)         診療の強化 断らない救急・医療連携の徹底と基礎診療科のほかに売りの診療科を作ること ひっきりなしの連携医療機関訪問・救急隊との連携強化

2)         医療事務の迅速化・強化

3)         開かれた病院・病院刷新プロジェクトの始動

4)         SNSWEB対策の強化

5)         患者満足度の向上を目指す 特に待ち時間対策と接遇対策

6)         職員満足度、一体感の向上を目指す 対話プロジェクトの始動 院長メッセージの毎月伝達と月標語の掲示

7)         競合病院とのWIN WINの連携関係の構築

などです。掲げた以上今年中になんとか改善してゆかねばなりません。

さらに2026年には病院機能評価3rd G Ver.1の受審が迫っています。病院の機能・安全管理の徹底も向上しつつ、病院の質と信頼の回復に努めなければなりません。

1年後2年後にこの病院がどのような変革を遂げられるかは、一緒に働いてくれている職員680名と様々な助言をくれる友や指導者たちの意思と意欲にかかっていると考えています。

なんとか皆さんの後押しをしっかりしてゆこうと思います。

 

雑談と写真:

ストレスフルな2月初旬を経て、真ん中の休みに超格安航空チケットで弾丸宮古島ツアーをしてきました。

雨・風・低温と南の島らしからぬ気候で、どんよりな旅でしたが、伊良部島の不思議な佐和田の浜の前にたつ滞在型のビラはとても素敵でした。また同じく伊良部島になかゆくい商店というこの片田舎で珍しく行列ができているお店があり、ラーメンかと思いきや、紅芋ばんぴんというサーターアンダギーのお店でした。これが、ものすごく美味しい!いつも茶色のしっかりした衣の中は宝石のような紫色で、甘さもしっとり感も最高でした。

 

伊良部島佐和田浜の前のリゾート 温水プールで雨の中ひと泳ぎ

 


宮古島の食事(外食と自炊)島おでんたからのふーチャンプルー最高でした。また国仲商店のモーニングセット、harry's ガーリックシュリンプと自炊ステーキ

 


宮古島の風景 アダンの道(田中一村の世界の景色でした)とまもる君と伊良部大橋長さは珊瑚礁だそう(3540m)

 


なかゆくい商店の紅芋ばんぴん すごく美味しい!!!し中身が宝石のように綺麗。


2025年1月23日木曜日

2025年1月13日月曜日

受援力

 

「受援力」

森田明夫

1/12(日)NHKラジオのアサいちのマイボイスで東大の上野千鶴子さんが「受援力」の話をしていた。聞きなれない言葉だが、援助を受ける力(能力・コツのようなもの)のことである。介護とか福祉だけのことではなく、人生一般に必要なコンセプトだ。特に医療に関係のある介護の領域では、介護をする人はその道のプロであるが、介護を受ける人はもちろん誰もが初心者である。介護を受ける人にもそのされ方をコーチングし、心得てもらう必要があると言うのである。

上野千鶴子さんは、平成31年に東京大学の入学式で祝辞が話題となった東大教授で、フェミニズムや「お一人様」の生き方などについて色々な本を書かれている。

さてその中で昔書かれた本「おひとり様の老後」という本で「介護される側の心得10か条」と言うのを書かれているそうである。その中のいくつかを紹介されていた。挙げられていたのは、

1.      自分にできることと自分にできないことの境界をわきまえる

2.      不必要な我慢や遠慮をしない

3.      何が気持ちよくて何が気持ち悪いかをはっきりと相手に伝える

4.      嬉しいこと、助かることをされたら喜びを素直に表現し、相手を褒める

5.      介護者の馴れ馴れしい言葉づかいや、子供扱いを拒否する

6.      介護してくれる相手に過剰な期待や依存をしない

7.      ユーモアと感謝を忘れない

患者を診る側としてもとても参考になるリストである。自分の思うことや、感じることをはっきりと言ってもらうこと。特に患者さんたちに馴れ馴れしい言葉づかいや、認知症の高齢者に子供あつかいするのは絶対に避けるべきだと思う。もちろん自分が患者になった時も忘れないようにと思う。

ちなみに書籍からの追加項目は下記の3つです。

1. 自分ココロとカラダの感覚に忠実かつ敏感になる

2.  相手が受け入れやすい言い方を選ぶ

3. 報酬は正規の料金で決済し、チップやモノを与えない

である!

 

「障害者にとって自立とは、依存先の分散である」という言葉の紹介もあった。だれか特定の人や個人に依存してしまうと、その依存された人の負担が大きく、また頼る方も精神的な依存度も高くなってしまう。多くの人に、細かく依存をすることで、一人一人への依存度は低くなり、障害者も気持ちが軽くなるというのである。そのためにはそうできる社会を作っていかないとならないと感じる。

 

そして最も「受援力」のない人たちは高齢男性だそうである。特に男性は自分が困っていることや弱っていることを言い出せない。また奥さんに日常からかなり頼り切っているのに(家事とか料理とか、奥さんがするのが当たり前だと思っている)、頼っていることに気づいていない。自分は誰にも頼っていないと思い込んでいるそうである。

高齢男性が、一人になった時、「僕寂しんです。」と言えるようになることが大事だそうである。

高齢女性にとってはお一人様よりもお二人様でいることの方が生命リスクが高いそうである。奥さんが弱ってしまっても、ご主人が「デイケアなんて行く必要ない」とか言ってしまうそうである。なので、女性はおひとり様の方が長生きできるそうである。「男は黙ってサッポロビール」なんて困ったものです。奥さんへの日頃の感謝を忘れないようにしましょう。

 

雑談:

年末に和歌山に行ってきました。和歌山には、これまで学会で2回、旅行で子供の頃と、熊野古道が世界遺産登録された頃に行ったことがありました。みなさん和歌山っていうと何を思い浮かべるでしょうか?みかんと梅干しでしょうか?歴史の好きな人であれば、紀州藩のこと(和歌山城はとても立派なお城です)。徳川吉宗のこと。和歌山の名前の元となった、和歌の浦のこと(元々は若の浦とよなれていましたが、よく和歌が読まれたことからそうなったと言われます)。秀吉が城を築いた際に海側に和歌の浦があるので和歌山と呼んだそうである。外科医であれば、その元祖といわれる華岡青洲が活躍した地でもある。小説が好きであれば、「紀の川」と言う有吉佐和子の自伝的小説があります。雄大な紀の川が吉野から流れています。そして奈良との県境近くには高野山があります。比叡山と並ぶ日本の仏教の2大本山です。比叡山ほどアクセスが良くないので、おとづれたことがある人は少ないようです。私も今回初めてその一部(全部回るにはまる二日くらい必要です)をお参りました。和歌山は大阪から1時間特急でかかります。ちょっと時間がかかるのですが、和歌山も大きな都市ではなく、とても自然が豊富なところです。星空がとても綺麗です。めはり寿司とかクエとか、食べ物もとても美味しいので、機会があれば行ってみてください。ところで「秘密のケンミンショー」では取り上げられたことが最も少ない県の一つ(最下位は神奈川県)で、今ひとつ発信力が少ないようです。そういえば、今国内の観光地はどこでもいっぱいの外国人も、和歌山にはほとんどいませんでした。 

 

写真:

丹生都比売神社 高野山の麓の天野という集落にある世界遺産の一つの神社です。もともと高野山一帯はこの神社の境内で、空海がこの神社の許しを得て高野山を開いたと言われています。奥には修験者の祠や石碑などがあります。

 


 

高野山・紀伊の内陸の朝はとても冷えます。夜は星がものすごく綺麗です。

麓から40分くらい葛折の道を登ると高野山の一帯に到達します。大門に迎えられ壇上伽藍、金剛峯寺、奥之院へと続きます。今回は前半のみで、後半は宿坊に泊まってお邪魔しようと思います。高野山まで登ると一面雪で、堂の中はとても冷たいです。

 


 

Yaşargil先生を偲んで

  Y   Yaşargil 先生を偲んで                                                                                            森田明...